先日、金融庁が暗号資産(仮想通貨)取引所のBinance(バイナンス)に対して、日本国内の居住者に向けたサービスをやめるように警告した。
日本の金融庁が、大手暗号資産取引所Binanceに対して未登録業者としての警告を6月25日に行った。金融庁がBinanceに警告を出すのは2回目となる。
金融庁は、資金決済法に基づき、2018年3月以来2度目となるBinanceへの警告を公表した。日本国内の居住者に向けた営業活動とサービス提供をやめるよう求めている。
暗号資産の加熱のピークは終わったが、2019年から2020年にかけては一部のインフルエンサーの後押しもあり、大きな盛り上がりを見せた。
Binanceはその暗号資産を扱う取引所のひとつ。
実際にBinanceに口座を持つインフルエンサーもいたようだ。
このBinance、一体何が問題なのか。
そしてBinanceを紹介していたインフルエンサーは誰なのか。
今回は金融庁が問題視するBinanceを勧めたインフルエンサーと題して、解説していく。
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記事を読むメリット
金融庁が問題視するBinanceの問題点と紹介していたインフルエンサーがわかり、インフルエンサーを信用するリスクについて理解できる。
Binanceの問題点
金融庁が問題視するBinance。
その問題点は大きく2つある。
ひとつは未認可で勝手に運営している点。
もうひとつが紹介者へのアフィリエイト制度がマルチ風であることだ。
Binanceの問題点
未認可運営
まずBinanceは日本で認可されていない。
暗号資産取引所としては未登録業者という扱いである。
なので日本国内での営業は許されていない。
なのに実際は日本人国内の日本人に対して営業している。
これは日本からすれば完全な違法行為となる。
未登録業者ということは、登録する為の様々な要件を満たしていない。
つまり国の基準から言えば安全ではない業者ということになる。
そして未認可なので法の保護は無い。
当然顧客にも法の保護は無い。
何かトラブルがあれな顧客は業者と一緒に沈むことになる。
ちなみに日本だけでなく、イギリスなどでも未認可で活動しておりサービス停止の警告を受けている。
日本の金融庁と同様に、FCAはイギリス国内における暗号資産取引所のライセンスをBinanceが取得していないとして、未登録業者としての警告を出した格好だ。6月30日までにサービスの停止を行うとともに、プロモーション活動の中止、ユーザーから目立つ場所にイギリスでの活動が認められていない旨を記載するよう求めている。
マルチ風アフィリエイト
もうひとつの問題点がマルチ風アフィリエイトだ。
まずアフィリエイト自体はよくあることだ。
サービスの利用者を増やすために紹介者に報酬が支払われる。
それ自体は問題はない。
しかしBinanceの場合は仕組みが特殊である。
通常は紹介によってユーザーが増えたら、増えたユーザー1人につき紹介者に対して固定の報酬を1回支払う。
というような仕組みだ。
しかしBinanceの場合は仕組みが違う。
Binanceのアフィリエイトプログラムの説明には以下のように記載されている。
誰かがあなたの紹介リンクを使用してバイナンスにサインアップまたはアカウントを登録すると、その方が取引を完了するたびに最大50%の手数料を得ることができます。
紹介したユーザーの手数料から一定の割合が紹介者に支払われるのだ。
これははっきりいって異常である。
Binanceの手数料は最もランクの低いユーザーで0.1%。
参考
1人あたり1回10万円動かすとしたら手数料は1人あたり100円。
1人紹介したら紹介者には1回の取引あたり最大50円が支払われる。
1人だったら小さく見えるが、これが100人紹介なら全員1取引で5000円。
1000人なら50000円になる。
さらに取引は1回では終わらないので、それが何度も発生する。
何というかマルチそのものではないが、紹介者から吸い上げる仕組みがマルチ風に見えてしまうのも仕方ないだろう。
Binanceを紹介するインフルエンサー
ではそんなマルチ風アフィリエイトに釣られてBinanceを紹介したインフルエンサーはいるのか。
いる。
少なくともこの2人はBinanceのアフィリエイトに参加しているのがわかっている。
Binanceを勧める有名人
マナブ氏
まずアフィリエイト界隈で有名なマナブ氏がBinanceをプッシュしていた。
50万人以上の登録者がいる自身のYouTubeチャンネルで「使いやすい」とアピールしている。
Binanceを紹介するマナブ氏 |
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そしてその動画の概要欄でアフィリエイトに誘導している。
Binanceのアフィリエイトに誘導するマナブ氏 |
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この動画は2021年7月現在で15万回以上再生されており、多くのフォロワーがBinanceに登録してマナブ氏に手数料を収めていることだろう。
イケハヤ氏
先日IRONとTITANを「錬金術だ」と煽りまくって大爆死したイケハヤ氏もBinance登録を勧めている。
ブログでBinance登録を勧めるイケハヤ氏 |
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Binance検索するとCoinMarketCap抑えてイケハヤ氏が一位なのかぁ
(゚ω゚) pic.twitter.com/8FnAuZ7JaZ— ティオ Tio 🏡 Crypto? (@tio_crypto) November 13, 2017
イケハヤ vs BINANCE#BNB #BINANCE pic.twitter.com/bGROpLD7Dl
— クリプト研究所 🍥 (@cryptolaboo) September 13, 2020
このように自身のブログでBinance登録を勧めている。
またSNS上でもBinanceを勧めていた模様。
彼も30万人以上のフォロワーを抱えるインフルエンサーなので、勧誘により多くのBinance新規ユーザーを獲得し、膨大な手数料を得ていると思われる。
海外業者の危険な例
そもそもバイナンスに限らず海外の事業者にお金を預けるリスクは知っておいたほうが良いだろう。
海外の事業者には日本の法律の管理が及ばない。
及ばないので「運営が詐欺師」というパターンが存在する。
実際に2021年11月にも仮想通貨(暗号資産)の発行者が突如金を持ち逃げして連絡がつかなくなるという事件が発生している。
Squid Gameトークンの開発者は、11月に開催予定のイカゲームのビデオゲームのトーナメント内で、この通貨を使えるようにすると述べていた。しかし、彼らは突然プロジェクトを停止し、Tornado Cashと呼ばれるプロトコルで取引の詳細を隠した上で、約250万ドル相当のバイナンスコインを現金化したことがウォレットの動きから判明し、暴落が発生した。
仮想通貨、運営が逃亡。
海外の仮想通貨に誘導する事例が増えてるけど、コレみたいに【大元が詐欺師】というパターンあるからね
「最も危険な罠はジャッジとのグル」
誰の言葉だったかなhttps://t.co/qA5P3flRAr
— からさん⭐ITチョットデキル人 (@KRSW_Saitama) November 2, 2021
まとめ
今回は金融庁が問題視するBinanceを勧めたインフルエンサーと題してBinanceの問題点と、問題があるBinanceをプッシュするインフルエンサーを紹介した。
Binanceの問題点は2点。
Binanceの問題点
国から許可を得ていないことと、紹介したユーザーの手数料から最大50%が支払われるマルチ風のアフィリエイト制度。
さらにはイタリアでも問題を起こして訴訟になっている。
世界最大規模の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスに対し、イタリア及び海外投資家グループが集団訴訟の手続きを開始したことがわかった。
投資家グループはバイナンスが先物取引に関する独自の規則に違反し、かつ取引プラットフォームの機能不全により、投資機会を損失し被害を被ったとして、投資額の返還と損害賠償を求めている。
これらを知りながらBinance猛プッシュしていたのがこの方々。
Binanceを勧める有名人
インフルエンサーには大きな影響力がある。
しかしその影響力は必ずしも視聴者にとって良い影響とは限らない。
情報の発信の意図や発信のメリットを考えよう。
勧められるがまま登録すると、気づかないうちにインフルエンサーの養分になっているかもしれないので注意した方が良いだろう。
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