2020年6月19日に発売されたラストオブアス2、通称「ラスアス2」。
PS3で発売された前作が「神ゲー」と称され、PS4での発売となるラスアス2の期待度は高かった。
しかしラスアス2発売後、レビュー評価は大炎上。
多くのユーザーから「クソゲー」と言われてしまった。
しかし前の記事で説明したように、ラスアス2は炎上したがクソゲーではない。
ゲームとしてのクオリティは高いが、シナリオの方向性がユーザーの期待するものと全く違っていた。
ではシナリオのどこが問題だったのか
今回はラスアス2のシナリオの問題点を紹介する。
以降ネタバレを含むので、ネタバレしない範囲での説明は前回の記事を見てほしい。
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前作ラスアス1のストーリー
ラスアス2のストーリーの問題点を理解するためには、まず前作ラスアス1を理解する必要がある。
前作の『The Last of Us』、ラスアス1の舞台はアメリカ。
ある日、世界でゾンビパンデミックが発生し、世界は荒廃してしまう。
主人公はジョエルという名のオジサン(CV:山寺宏一)。
主人公であるジョエルはパンデミック当時に娘を亡くし、その後は荒廃した世界で運び屋として生活していた。そんなある日、エリーという少女を運ぶ依頼をされる。
実はエリーはゾンビ化に対する抗体を持っていて、ゾンビに噛まれてもゾンビ化しないレアな存在。
依頼は抗体持ちのエリーを、とある研究施設まで運ぶことだった。
依頼者の目的はゾンビパンデミックを解消して世界を救うこと。
しかし移動するのも一苦労。
荒廃した世界には敵がいっぱいいる。
ゾンビの他にも、街を警備している武装組織、人を襲う野盗など人間も敵になる。
そんな奴らをジョエルおじさんが、時にはステルスを駆使してやりすごし、時には遠くから狙撃し、時には背後から襲いかかり、時には正面から戦って蹴散らす。
さらに旅の途中で仲間が死んだり、行動を共にした人に裏切られたり、何度もピンチになる。
最初はジョエルおじさんもエリーもお互いを信用していないが、旅を通じて親子のような絆が芽生えていく。
そして最後に研究所でパンデミック解消の研究にはエリーの命を諦めなければならないと知り、ジョエルおじさんは「エリーの命をとるか、世界をとるか」の2択を迫られる。
最終的にジョエルおじさんはエリーの命をとり、研究所の職員を抹殺してエリーを連れ出し、弟の村で生活することとなる。
ラスアス1は神ゲー
ラスアス1のストーリーにはとても感情移入してしまう。
プレイヤーはジョエル視点でプレイすることで、まず娘を亡くした絶望から始まり、エリー旅を通じてジョエルのトラウマと向き合っていく。
最終的には家族を得てやり直すという希望を見出すことになる。
終わる頃にはハリウッドの超大作を見た後のような感覚になることができる。
そしてストーリー以外も色々な要素が当時のPS3での最高クラス。
- グラフィック
- アクション
- 探索、素材集め
- 音楽
まさに神ゲーオブ神ゲー。
こんな神ゲーの次回作に期待するなと言う方が無理だった。
ラスアス2の炎上
そして『The Last of Us Part II』、通称「ラスアス2」が2020年6月19日に発売されると、前作の評価もあり大いに売れたが、売れた結果レビューが炎上してしまった。
当初のレビュースコアでは10点中3点台。
1ヶ月後の現在でも10点中5.5点となっている。
ただ一方的な炎上ではなく賛否両論状態となっている。
The Last of Us Part II for PlayStation 4 Reviews - Metacritic |
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ユーザーからの批判の中心はストーリーだ。
ラストオブアス2やっとクリアしたけど後味が悪い終わり方だった
— magane🎸🎤 (@magane86) June 20, 2020
ラストオブアス、ゲームが苦痛だと思わせてくれた最高の作品、二度とやりたくない!
— 浜田省吾 (@nemuisiharaheta) June 20, 2020
悪かった点
ストーリーが胸糞すぎる。
内容は言いにくいけど…。松本人志が映画批評で言ってたセリフを借りると
「僕はルール違反は嫌いじゃない。
でもこれはマナー違反です」
これに尽きると思う。#ラスアス2 #ラストオブアス2— けんけん (@1227KEN) June 25, 2020
#PS4share#ラスアス2
クリアするまでが苦痛過ぎるストーリーで酷い、最後ジョエル映しとけばいい的なあっさい内容、悲しいだけの終わり方でアクションゲームなのに盛り下がる演出で不釣り合いでサイコな作者で今年ークソゲー決定!! pic.twitter.com/m7ghhT2Id6— Phoenix imagination (@Phoeniximaginat) June 27, 2020
ラスアス2のストーリー
ではラスアス2のストーリーはどうなっているのか。
ざっくり紹介するとこんな感じ。
- 冒頭でジョエルが「アビー」というキャラに殺される
- エリーが復讐を決意してアビーを追う
- エリーがアビーを追いながら関係者を抹殺していく
- エリーがアビーにたどり着いたところでアビー側のストーリーが開始
- アビーは前作でジョエルが抹殺した研究所職員の娘
- アビーはジョエルに復讐した後、なんやかんやで敵対組織の非戦闘員を助けてしまい自分の組織での居場所が無くなる
- アビーとエリーが対決、アビーが勝利するもののエリーの味方に妊娠者がいるのを知り見逃す
- 見逃されたエリーは仲間と暮らすも、復讐を諦められずに再度アビーを追う
- アビーが敵対組織の非戦闘員を匿って制裁されているところにエリーが辿り着いて再戦
- エリーが勝利したが、エリーの脳裏にジョエルとの温かい思い出がよぎりアビーを見逃す
- エリーが帰ると家には仲間がいなくなっており孤独END
かなり端折っているが、前作に比べて救いの無いのがわかると思う。
ストーリーの問題点はユーザーの期待との乖離
ストーリーの問題点はユーザーの期待との乖離だろう。
具体的に言えば以下の部分である。
- アビー視点のストーリー
- 復讐というテーマ
アビー視点のストーリー
前作からのファンはラスアス1をプレイすることで、ジョエルに感情移入している。
なのでゲーム序盤でジョエルを殺されてアビーへのヘイトはMAXになる。
しかしゲームの途中からアビーを操作させられる。
ヘイトがMAXまで溜まっているアビーを助けるような操作をするのは感情的にはなかなか難しいものがある。
プレイヤーは耐えるか心を無にしてアクションに集中するしかない。
しかし視点がアビー側に変わり、アビーにもジョエルに復讐する理由があったことがわかり、プレイを通じてアビーが悪人ではない事も明かされ、プレイヤー側としては「エリーに肩入れするのが間違い」と言われているようなとてもモヤっとした気持ちになる。
中でも最もキツイのは、アビー視点でエリーと戦わされるところだ。
プレイヤーからすれば前作でジョエルが守り、今作ではプレイキャラとして導いてきたエリーを倒さねばならない。
まるで踏み絵を強要されるような不快な気分になる。
期待して買ったゲームで精神的苦痛を強いられたらたまったものではない。
復讐というテーマ
復讐というテーマも問題だったかと思う。
ゲームの中で、アビーはジョエルを抹殺することで復讐を遂げ、エリーはさらに復讐の為に追うことになる。
最終的にはエリーもアビーもお互いを殺害することなくエンディングを迎える。
最後にはエリーに何も残っていない様から「復讐の無意味さ」のようなテーマが伝わってくる。
倫理的にはとても正しい。
正しいが、ユーザーとしてはそんな正しさは求めていない。
前作に思い入れがあるほど辛い
アビー視点による操作も、「復讐の無意味さ」を伝えることも、共通するのは前作ラスアス1の否定だ。
- ジョエルを殺されて存在の否定
- 敵対するアビー側の都合を知らされ前作の行いを否定
- 復讐を完遂させないことでエリーの行動理由を否定
ここまで否定されると、前作に思い入れがあればあるほど辛いものがある。
ゲームとしての完成度は高い
ストーリーについては前作ファンを怒らせるのも無理はないラスアス2であるが、ゲームとしての完成度は非常に高い。
ストーリーを除いた要素は前作から進化をしており、文句なしの高得点にふさわしい作品となっている。
- グラフィック
- アクション
- 探索、素材集め
- 音楽
グラフィックは美しいし、ガラスを割って移動するような自由度もあり、また素材を組み合わせて武器改造することもできる。
ステルスで敵を倒せば、他の敵が名前を呼んだり、犬がリアクションしたりするし、難易度も細かく調整でき、かなり作り込まれている。
つまりゲームとしてはクソゲーではないと言える。
先に述べたようなストーリー展開に抵抗が無ければ十分にオススメできる作品である。
その他
エリーが抗体持ちであるのを秘密にするためにマスクしてたり、敵と交渉する為に感染したように見せかけたりもしてたし。
次回作があれば感染を抑えたり拡大させない活路が開けるんだろうか。
そもそも次回作があるのかどうかもわからないけど。
奥さんいるのにどうすんねんっていう。
【ネタバレ】ラストオブアス2が炎上した問題点 まとめ
今回は『The Last of Us Part II』、通称「ラスアス2」の炎上理由についてストーリーのネタバレを交えて紹介した。
前作ファンとしては前作の希望を引き継ぐような延長を期待していたが、描かれたのは前作の愛を反転させたような復讐と不幸の物語。
今回の炎上は、前作ラスアス1という神ゲーでジョエルとエリーにどっぷりと感情移入させておきながら、ラスアス2で殺したり行動理由を否定されたのでラスアス1のファンとしては受け入れがたく、炎上に繋がったと考えられる。
しかしラスアス2自体のクオリティは高く、決してクソゲーではない。
ストーリー展開に抵抗が無ければ十分にオススメできる作品である。
ステルスアクションが好きな人で、前作ラスアス1をやっていない。もしくはストーリーにそこまで思い入れのない人には是非やってほしい作品である。
他にも、炎上した映画について考察した記事もあるので、もし気になったら見てほしい。
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