Googleの対話型AI「Bard」。
対話によってメッセージに対する回答をAIが生成してくれるサービスで、Google版の「ChatGPT」と言えるサービスだ。
BardやChatGPTの裏側には大規模言語モデル(Large Language Models、LLM)と呼ばれるAIモデルが居る。
LLMは大量にテキストを学習したモデルであり、学習したテキストを基に質問に回答する。
Bardは質問に回答するだけでなく、プログラムも作ってくれる。
Bardの回答例 |
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これだけでも便利なBardだが、WEBブラウザではなくAPI経由で実行して他のシステムに組み込むことはできないのか。
そこで今回はGoogleの対話型AI「Bard」をAPIで利用する方法について紹介する。
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記事を読むメリット
Googleの対話型AI「Bard」をAPIで利用する方法の有無がわかり、APIを探し続ける必要がなくなる。
Googleの対話型AI「Bard」をAPIで利用する方法
Googleの対話型AI「Bard」をAPIで利用する方法は無い。
2023年11月29日時点では、Bardはベータ版なのでAPIは公開されていない。
「無い」と言われて納得しない人が居ると思うので、さらに説明する。
Google Bard APIが無い根拠
「Google Bard APIが無い」と言われても信じられない人も居るかと思うので、根拠を述べてみる。
根拠としては以下の通り。
Bard APIが無い根拠
- GCPのAPIライブラリにBardが存在しない
- Google CloudプレミアムパートナーがAPIの存在を否定している
- Googleの中の人が別のAPIに誘導している
GCPのAPIライブラリにBardが存在しない
まず2023年11月30日の時点で、Google CloudのAPIライブラリに「Bard」は存在しない。
APIライブラリに存在しないのだからAPIを有効化することもできない。
Google CloudプレミアムパートナーがAPIの存在を否定している
Bard APIはGoogle Cloudプレミアムパートナーが存在を否定している。
厳密にいうと、 Google Bard API は存在しません。しかし、 Google Bard のようなアプリを生成するためのAPIやツール群は用意されています。
参考:【解説】10分でわかる Google Bard (グーグルバード)の概要と使い方 | ヨシヅミ-吉積情報株式会社|Google 認定プレミアパートナー
ただしBardで使っている「PaLM2」と呼ばれるサービスのAPIは使用できる模様。
Googleの中の人が別のAPIに誘導している
Google上で「bard API」のキーワードで英語の検索結果を取得したときに最初に出てくるのが以下のページ。
Google Cloud Communityの中でBard APIについて質問をしている。
こんにちは。お待ちいただきありがとうございます。開発者として Google LLM API の使用を開始する準備ができていると聞いてうれしく思います。以下の情報を確認してください。
- 企業のお客様は、Google Cloud からVertex AI LLM Trusted Testersプログラムにサインアップできます
- 独立系開発者はここからMakerSuiteとPalmAPIの待機リストに登録できます。
Google Cloud Innovators プログラムに登録して、最新のアップデートやロードマップ セッションに関する最新情報を入手してください。
これがお役に立てば幸いです。ありがとう!
ここでもBard APIではなく、PaLM APIの方に誘導している。
Bard自体のAPIは無いからだろう。
なぜBard APIが存在すると思われているのか
ここまでBrad APIが無い根拠を示してきた。
しかし何故Bard APIが存在すると思われているのだろうか。
Bard APIが存在すると思われてしまう理由は2つある。
Bard APIが存在すると誤解される理由
- BardのAIがAPIが存在するかのような嘘の回答をしている
- Bard-APIと名付けられたPythonパッケージが存在する
BardのAIがAPIが存在するかのような嘘の回答をしている
Bard APIがあるかのような嘘の回答をするBard |
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先のコミュニティの質問にも書かれていたが、Bard自身が「Bard API」について質問されると、まるでAPIが存在するかのような嘘の回答をするのである。
Bard自身が自信満々にAPIの有効化について説明しているが、先にも述べたようにGoogle CloudのAPIライブラリにBardは存在しない。
これがLLMの落とし穴である。
LLMは大量のテキストを学習しているが、書かれていないことは学習できない。
APIについて「存在しない」と書かれていれば学習できたかもしれないが、何の記述も無ければ学習できない。
論理的な判断ができるわけではなく、あくまで「それっぽい自然な文章を出力している」だけなので、出力が正しいかどうかは担保されていない。
なので誤解を招く嘘を言えてしまうのである。
Bard-APIと名付けられたPythonパッケージが存在する
Bard APIが存在すると誤解される理由のひとつが、「Bard-API]
と名付けられたPythonパッケージの存在である。
Cookieの値を利用してGoogle BardにアクセスするPythonパッケージだが、説明に unofficial
と付いているように非公式のパッケージである。
このPthonパッケージが Bard-API
を名乗っているので、このパッケージについて説明したWEBサイトにも「Bard API」のテキストが書かれることになる。
そして「Bard API」の検索結果に載るようになり、あたかもBard APIが存在するような検索結果になってしまっているのである。
まとめ
今回はGoogleの対話型AI「Bard」をAPIで利用する方法について解説した。
Googleの対話型AI「Bard」をAPIで利用する方法は無い。
2023年11月29日時点では、Bardはベータ版なのでAPIは公開されていない。
根拠としては以下の通り。
Bard APIが無い根拠
- GCPのAPIライブラリにBardが存在しない
- Google CloudプレミアムパートナーがAPIの存在を否定している
- Googleの中の人が別のAPIに誘導している
そしてBard APIが存在すると誤解される理由としては以下のようなものがある。
Bard APIが存在すると誤解される理由
- BardのAIがAPIが存在するかのような嘘の回答をしている
- Bard-APIと名付けられたPythonパッケージが存在する
ただしBard APIは無くても、質問に回答できる「PaLM API」があるのでそちらを使うと良いだろう。
他にもGoogleやGCP関連の記事もあるので、もし気になるものがあれば見てみて欲しい。