8/4に中東レバノンで爆発があり、爆発現場の倉庫だけでなく周囲一体を吹き飛ばす大事故となった。
爆発の原因は倉庫に保管されていた硝酸アンモニウムとのこと。
硝酸アンモニウムは爆薬の原料としても使われており、爆発の威力は200km離れたキプロス島でもわかるほどのものだったようだ。
今回の大規模な爆発の原因となったのは硝酸アンモニウムだと考えられている。硝酸アンモニウムは、農業用肥料や鉱山で使われる爆薬の原料として使われることが多い化学物質だ。レバノンのミシェル・アウン大統領によると、爆発現場の港湾倉庫には2,750トンの硝酸アンモニウムが安全対策が不十分なまま6年にわたり保管されていた。爆発の威力は凄まじく、200km離れたキプロス島でも感じられたほどだった。
参考:レバノンの爆発事故が、あれほど破壊的な規模になった化学的メカニズム | WIRED.jp
では具体的にTNT換算でどのくらいの威力だったのか。
今回はこの恐ろしいレバノン大爆発事故の威力についてをまとめてみる。
レバノン大爆発事故の威力
レバノン大爆発事故の威力を見積もるには、爆発物の種類と量が必要になる。
今回は爆発物は硝酸アンモニウム、量は2750トンである。
この場合、爆発の威力はTNT換算で約1,000〜1,500トンと目されている。
爆発はトリニトロトルエン(TNT)火薬換算で約1,000〜1,500トンに相当するとみられている。広島に投下された原爆の10分の1の威力だ。
参考:レバノンの爆発事故が、あれほど破壊的な規模になった化学的メカニズム | WIRED.jp
計算している人も居て、この方の計算だと「TNT換算で1155トン相当」となっている。
2750トンの硝酸アンモニウムをTNT換算するとRE係数0.42だから、TNT1155トン相当の爆発力になるのかな。キロトン級か…
— JSF (@rockfish31) August 4, 2020
TNT換算1000トンの威力とは
ではTNT換算1000トンの威力とはどのくらいなのだろうか。
20世紀に核兵器を想定した威力計測実験として「セーラハット作戦」というものがあり、そこで500トンのTNT火薬を用いて実験をしていた。
当時の映像が以下となる。
映像を見ると戦艦1隻サイズの爆炎が発生して、さらにそこから衝撃波が広がっているのがわかる。
レバノンの爆発はTNT換算で1000~1500トン級なので、セーラーハット作戦の2~3倍の爆薬量となる。
つまり戦艦複数隻を丸ごと吹き飛ばすレベルの爆発だったと言える。
この威力の爆発によって、ベイルートの港湾地区一帯は吹き飛んでしまった。
さらに恐ろしい原爆
レバノンではベイルートの港湾地区一帯が吹き飛ぶ大爆発だった。
しかし先程の比較コメントで更に恐ろしい例が出ていた。
広島に投下された原爆の10分の1の威力
広島に落とされた原子爆弾の威力はTNT換算で15キロトン。
今回のレバノンの爆発の10倍である。
レバノンの爆発でも十分大きい爆発だったが、1945年の広島にはこの10倍の威力を持つ爆弾が投下され、広島を焼き払ってしまっている。
そして広島の場合はただの爆弾ではなく原子爆弾なので、熱と爆風の他に放射線も放ち、多くの被爆者を出している。
レバノン大爆発事故の威力まとめ
レバノンで起こった大爆発はTNT換算で約1,000〜1,500トン級。
これは戦艦複数隻を丸ごと吹き飛ばせる威力。
そしてこの爆発をさらに10倍したものが広島の原爆。
終戦から75年となる2020年。
奇しくも他国で起こった爆発を期に、戦争で用いられた爆弾の恐ろしさを垣間見てしまった。
あわせて読みたい