統計情報として正しいの?
もしかして検査できてないだけなんじゃ・・・
新型コロナウイルス、なぜ日本だけ致死率が低いのか。
日本の統計情報に疑問を持つ方も多いのではないだろうか。
本記事ではそのような疑問について、公開されている情報や見えている状況、その他意見から考察を行う。
本記事の対象者
新型コロナウイルス、日本だけ致死率が低い
全世界で猛威を奮っている新型コロナウイルス。
統計データを見ると、日本だけ感染者数が少ない。
さらに感染者数に対する死亡者数、つまり致死率も低い。
以下のデータは2020年4月18日時点のものだが、欧米諸国に対して日本の感染者数は1/10未満、アメリカと比較すると1/70未満となる。
致死率はイタリア、スペイン、イギリス、フランスが10%超。
アメリカが5%超、ドイツが3%程度の中、日本は2%だ。
コロナウイルス感染者数
この差は一体何なのだろうか。
なぜ日本だけ致死率が低いのか。
何かしらの理由があるのか、それともデータがおかしいのか。
新型コロナウイルス、なぜ日本だけ致死率が低いのか
新型コロナウイルス、なぜ日本だけ致死率が低いのか。
可能性として世間で言われているのは以下のようなものがある。
致死率が低い理由の候補
検査の数が少ないから(隠れている)
まず検査の数が少ないという懸念がある。
新型コロナウイルスに対する日本の検査方針は、希望者全員を検査するのではない。
PCR検査キットの配布や、ドライブスルー検査などはしていない。
電話窓口で問診した後に、陽性の疑いが強く重症化の危険がある人を優先的に検査している。
したがって検査の数が少ないという懸念は正しい。
しかし検査数が少ないことは致死率が低いことの理由にはならない。
母集団が重症化リスクの高い人に偏っているなら、むしろ致死率は高い方が統計的に自然だ。
では死亡者数そのものが隠されているのか。
状況から鑑みるにそれも正しくない。
アメリカの人口が約3億人、日本は大体1億人。
もしアメリカと同じ割合で感染者と死亡者がいた場合、日本の死亡者数は1万を超えてしまう。
そうなるとニューヨークのように遺体安置所の圧迫が問題になるはずだが、日本ではそんなニュースは無い。
もし報道規制がされていたとしても、全国民の口を塞ぐことは不可能なので、それだけの人が無くなっていたらどこかしらでリーク情報が出てくる。
故に検査数は少なく、隠れた感染者はもっといるだろうが、死亡者数に関しては疑いにくい。
つまり感染者の母数はもっと多いと仮定すると、日本の新型コロナウイルスの致死率は2%よりも低いと考えられる。
衛生レベルが高いから
次に日本の衛生レベルが高いという理由が考えられる。
たしかに日本は諸外国に比べると清潔だ。
飲食店や公共施設、街の清掃はされており、汚い場所というのはなかなか無い。
しかしこれらは感染リスクの減少にはつながるが、感染後の致死率には影響しない。
また環境は清潔だったとしても、人間は汗もかけばクシャミもする。
特に日本は人口密度が高く、ロックダウンもされていないので人どうしの接触リスクは諸外国より高い。
この条件で諸外国に対して10倍から70倍の感染予防になるかと言われると、そうではないはずだ。
接触する習慣が無いから
日本人は欧米諸国と比較すると、接触する習慣が無いことが要因の候補として挙げられる。
確かに日本人は挨拶でハグもしなければキスもしない。
握手をすることも多くない。
しかしこれも感染リスクの減少にはつながるが、感染後の死亡率には影響しない。
さらに日本には満員電車というものがある。
外出自粛要請以降は乗車率は下がっているが、2月3月は普通に電車が稼働していたので人どうしの接触機会は多かったはずである。
故に接触習慣も致死率が低い理由にはならないし、感染者数が少ない理由にもならない。
医療レベルが高いから
では医療レベルの高さが致死率を抑えているのだろうか。
確かに日本の医療レベルは高い。
世界最高かと言われると疑問があるが、平均寿命の長さでは世界一なので生かす医療では世界一だろう。
また検査の前に電話問診を挟むことで、重症化リスクの高い患者に集中して対応している事で死亡率の低さに貢献していると考えられる。
BCGの影響
結核予防のBCG注射の効果なのではないかという声もある。
以下の画像で緑色はBCG未実施の国、赤色が過去は実施していたが現在は未実施の国だ。
そしてBCG未実施のアメリカやイタリアで新型コロナウイルスの被害が出ているところに相関があると言われている。
画像:The BCG World Atlas 2nd Editionより |
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BCGとの相関に関しては、2020年4月現在科学的な根拠は無いとされている。
またオーストラリアやカナダについては、アメリカや欧米諸国と比べて被害が少ないので、根拠としては薄いかもしれない。
重症化に関わる遺伝子を持っていない
2020年9月にコロナウイルスの重症化に関わる遺伝子を特定したという内容の論文がNatureに上がった。
この論文によると重症化しやすくなる遺伝子を持つ人は、南アジア(つまりインド)に多く、次いでヨーロッパ系の一部の人々もこの遺伝子を持っているという。
Abstract
A recent genetic association study1 identified a gene cluster on chromosome 3 as a risk locus for respiratory failure upon SARS-CoV-2 infection. A new study2 comprising 3,199 hospitalized COVID-19 patients and controls finds that this is the major genetic risk factor for severe SARS-CoV-2 infection and hospitalization (COVID-19 Host Genetics Initiative). Here, we show that the risk is conferred by a genomic segment of ~50 kb that is inherited from Neanderthals and is carried by ~50% of people in South Asia and ~16% of people in Europe today.(以下翻訳)
概要
最近の遺伝子関連研究1は、SARS-CoV-2感染時の呼吸不全のリスク遺伝子座として染色体3上の遺伝子クラスターを特定しました。3,199人の入院COVID-19患者と対照を含む新しい研究2は、これが重症のSARS-CoV-2感染と入院の主要な遺伝的危険因子であることを発見しました(COVID-19ホスト遺伝学イニシアチブ)。ここでは、リスクがネアンデルタール人から受け継がれ、今日南アジアの人々の約50%とヨーロッパの人々の約16%によって運ばれている約50kbのゲノムセグメントによって与えられることを示します。
論文の図3。この因子を持つ人の比率。インドやばい。 pic.twitter.com/3Vf7NRZ0tr
— 🐧 (@picocog) September 30, 2020
まとめ(新型コロナウイルス、なぜ日本だけ致死率が低いのか)
新型コロナウイルス、なぜ日本だけ致死率が低いのか。
理由としては、平均寿命世界一を支える「生かす医療」と、重症化リスクの高い患者に集中する為の体制が死亡率の低さに繋がっていると考えられる。
また最近は重症化リスクに関連する遺伝子の特定も進んでおり、日本人は対象の遺伝子を持っていないので重症化しづらく、死亡率が低いとも考えられる。
しかし病床の数は無限ではないので、医療崩壊を防ぐためにも各々が感染しないように外出自粛や手洗いうがいを心がけるのも重要だ。
また新型コロナウイルスの予防グッズについてまとめた記事や、布マスクの簡単な作り方についてまとめた記事もあるので、こちらもご参考。